◆愛の縁側劇場〜八戒編◆
三蔵「おいお茶。」
八戒「ハイちょっと待ってくださいね。」
間。
八戒「どうぞ。熱いかもしれませんから気を付けて。」
(↑にっこり)
(↓無表情。新聞読んでる。)
三蔵「うむ。」
間。
八戒も縁側のやや奥まった位置で一緒にお茶を啜っている。
常に夫の三歩後ろで(笑)。
八戒「いーい天気ですねえ。」
勿論、返事は無い。
間。
三蔵きょろきょろする。何か探している模様。
八戒「ハイ、どうぞ。」
爪切りを手渡す。
三蔵「・・・・・・ああ。」
礼も言わず受け取る。
−ぱちんぱちん
午後の陽溜りの中、爪切りの小気味のいい音だけが響いている。
爪切り終了。
おもむろに目は向けずにしゃべりだす。
三蔵「来週、同僚の山崎と釣りに行こうと思うんだが・・・・・・。」
八戒「結構じゃないですか。」
三蔵「それでその打ち合わせに金曜の晩は飲みに行こうと・・・・・・。」
八戒「それも結構ですけど、おこづかいはあげませんよ?」
三蔵「・・・・・・そうか。」
間。
おもむろに目は向けずにしゃべりだす。
三蔵「それでだな、新しいロッドを買おうかと・・・・・・。」
八戒「よした方がいいんじゃないですか?そう言ってこの前も買ったばかりでしょう。」
三蔵「いや、この前のはフライ用なんだ。今度はバスだからな。」
八戒「何でもいいですけど、それで月末苦しくなっても知りませんからね?」
間。
三蔵「・・・・・・そうだな。」
(↑諦めた模様。)
(↓にっこり。)
八戒「それじゃ、土曜までに道具出しとけばいいんですね。」
三蔵「ああ、頼む。」
間。
三蔵、つっかけを履いて庭に下り、盆栽を見たりしている。
八戒「そうです、三蔵。」
ふと思い出した風。
振り返らない。
三蔵「・・・・・・なんだ。」
八戒「来月、婦人会の旅行があるんですが。」
三蔵「・・・・・・」
(↑考えてる風)
(↓にっこり)
八戒「構いませんよね、行っても。それとも二三日僕がいないだけでも駄目ですか?」
台詞の後半に著しく反応する。
三蔵「・・・・・・行って来ればいいだろう。」
八戒「それと来週悟空(特別出演)の参観日なんですけど。」
三蔵「それがどうした。」
八戒「新しくスーツおろして構いませんか?」
三蔵「おまえ」
(↑何か言いかける。)
(↓が、素早く制す。)
八戒「そう言えば、この前の三蔵のフォーマル、十万以上したんですよねえ。」
三蔵「・・・・・・。」
八戒「あ、何の話してましたっけ?」
(↑にっこり)
(↓むっつり)
三蔵「おまえのスーツの話だ。・・・・・・買えばいいだろう。」
八戒「ありがとうございますv」
間。
三蔵「おい」
八戒「あ、水撒きですね、すぐ準備しますから。」
こうして今日もがっちり亭主関白を貫き通したつもりの三蔵であった。