□君の名は……:外伝□
「悟空、ちょっといいですか?」 ナニ?と振り向いた悟空に向かって八戒はいたずらっぽい笑みを浮かべて言った。 「三蔵さん、って十回言ってもらえます?」 「あー、それクイズみたいなヤツだろ!!ぜってー引っかからないよ?」 いいから、と笑う八戒に悟空は得意顔で口を開いた。 「さんぞうさんぞうさんぞうさんぞう……アレ?」 八戒はくすくすと笑い、諭すように言う。 「駄目ですよ、それを言うなら、さんぞうさん、さんぞうさん、さんぞうさん、さんぞうさんって言わなきゃ。」 「あーそっかー意外に難しいなあ・・・・・・さんぞうさんさんぞうさんさんぞうさんぞう・・・・・・うーやっぱりさんぞうさんぞうさんぞうさんぞうになっちゃうー。」 そこへ悟浄がやって来た。 「だーめだねー、コザルちゃんはぁ。」 「だったら悟浄出来んのか?」 あったりまえジャーン、と悟浄は余裕の表情を見せ、すっと息を吸い込むと口を開いた。 「さんぞうさんさんぞうさんさんぞうさんぞう・・・・・・アレ?」 悟空がやっぱ駄目なんじゃん、とここぞとばかりに言う。けんかになる前にと八戒が二人の間に入る。 「だから、簡単なようで意外に難しいんですよ。昔、そう呼んでた事があるんで、自分で器用な事してたんだなあって、ちょっと思ったんですって・・・・・・二人とも聞いてませんね・・・・・・?」 二人はそれぞれに意地になっていた。 「さんぞうさんさんぞうさんさんぞうさんさんぞうさんぞうさんぞう…だからちげーんだよ、あークソー。」 「さんぞうさんぞうさんぞうさんぞう……あー最初っからちがーうッ!!」 八戒はそろそろいい加減にした方が良いのでは・・・・・・と思ったが口を出すより早く、心配していたことが先に起こってしまった。 バサリ、と新聞がひときわ大きくなったかと思うと、 その名を・・・・・・ その名を呼ぶなァ!!! |