【詰めが甘い(2008/08/29)】


「今月がお誕生日なそこの君にィ!俺様からビッグなプレゼントぅ!」
「うわッ、気持ち悪ッ!……てゆーか、来月なんですけど。ほぼ一ヶ月先なんですけど。」
「まあまあまあ細かいこと気にすんなって!」
「細かいでしょうか……。」
「おおおおおおおッ!WiiだWii!やろうやろう早くやろう!」
「テメッ、断りなく開けてんじゃねえよ!」
「ああ。」
「そんで肝心のオメーはそのリアクションかよ!最新だぜ!?トレンドだぜ!?」
「フン、Wiiごときで今更最新もトレンドも無かろう。」
「おまえにトレンドとか語られたくねェよ!」
「僕としては中国四千年の歴史の真骨頂、『威力棒Vii』でも頂いた方が
……安いですし。」
「なるほど、自分では絶対に買わないがなんとなく欲しいという意味では
貰えればかなりうれしいな。」
「何!?何そのマニアックな物体!?いいじゃん!Wiiでいいじゃん!」
「要するに自分がやりたかったんじゃん……いいから、じゃあさっさと開けてみようよ。」

 ガサガサ

「アレ?」
「どしたの?」
「…………コレ、なんか足りなくね?」
「んー……?あ、コントローラー無い……。」
「普通、一個は付属してるもんだよな。」
「……と、思うよ。」
「悟浄、あなた、学生時代、クラスにひとりは居る
理科の実験セット配られたときに中身確認したら部品が足りないタイプの子だったでしょう。
運が悪いですね。まあ、今更確認することでもないですね。」
「……………………。」
「なァーんだーすぐに遊べないのならいいや。」
「早く交換に行った方がいいですよ。」

「ちぇーっ、んだよもー。」(ガサガサ)
「ほう……コントローラーが無い?」
「まったくふざけてんじゃねえって話だよなあ。」
「すぐには出来ない、と……。」
「まあね……って、え?」
「……。」
「三蔵様?」
「貴様の詰めが甘いんだよ!!」
「何、怒ってんの?俺!?つーか、エ?そんなにやりたかったの!?」
「当たり前だろうが!」
「分かった!すぐに交換に行くから!待て!落ち着こう!」
「最新でトレンドのWii!」
「言ってる事違う!さっきと違う!!」
「何だと!?」
「なんでもない!なんでもないですゥゥゥゥ!!」
「一緒にWiiフィットも買って来い!!」
「エエエエ!?ドサマギで何言ってんだよこのひと!」
「何か言ったか!?」
「分かりましたァ!買わせて頂きます!マリオカート(Wiiハンドル同梱版)も買いますゥ!」





【詰めが甘い?】


「三蔵、すみません。法衣と一緒に洗濯しちゃいました。」
「何を……て経文かァ!!」
「きちんと確かめなかった僕も悪いです。ええ、まったく非がないとは言えないでしょう。
だからこそこうして謝ってるじゃないですか?
ですが、大事な経文を汚れ物と一緒にしていたのはどこの最高僧様でしょうねえ?」
「……。」
「黙った!黙ったぞ!!」
「やっぱ八戒最強!」
「そこうるさい!」
「僕は別に間違ったことも屁理屈も言ってないと思うんですけどねえ。心外ですねえ。」
「しかし……。」
「大丈夫ですよ。陰干しである程度まで乾かした後、
紙の間に挟んで重石をおいてまっすぐ伸ばし、
再び陰干しというたいへん面倒で手間の掛かることをしていますから!
しわひとつないでしょう!」
「……怒ってるのか?」
「……そう見えますか?」
「イヤ……すまん……。」
「怖い!八戒超怖い!」
「バッカ、今更だろ!?」
「……心外ですねえ。」

 数日後。

「魔界天浄!!」

「おお相変わらず反則技っぽい……ってアレ?なんか……。」
「……敵がやすらかな顔で散っていく……。」
「コレはまさか……!!」

「柔軟剤はフローラル○ミングですvv」

「でもなんか、香りも倍増?これも魔界天浄の効果!?」
「締まりがねえ……!」
「いいじゃねえか、いい匂いがするお経ってなんか有難そうじゃねえか……。」
「○ミングってお母さんの匂いだよな……お母さんいねえけど。」
「和みますねえ……。」
「違うだろう!和むところじゃねえだろうが!」
「でもこの匂いかいでると和むよなあ。」
「なつかしい感じ?」
「あ、そうそうそう!」
「もう今日ここいらでよくね?」
「丁度すぐそこに街が」
「マジでマジでマジで!メシ食おうメシ!」
「なんかこうおふくろの味的なものが食べたいですねえ
……おふくろの味の思い出はありませんが。」
「いいじゃんいいじゃん
なんかこうおばちゃんがひとりで切り盛りしてるような小料理屋とかどうよ!?」
「あ、いいですねえ!」
「行こう行こう!」

「……それで俺は置いてけぼりか……?」






【詰めはシッカリ?】

「ああ、上に泊まってる子だろ?コレ余ってるから持ってお行き!」
「マジで!?ありがとう!!やったーvv」
 宿を徘徊していた悟空は、まんじゅうを三つ手に入れた。
「やったやった〜♪……ハッ、これは……ひとつ足りない!!どうすっかなー。」


□ケース1:悟浄の分を無しにした場合
「ゴメン!三つしか無かったから食っちゃった!」
「何ィィィ!?」
「イヤだって丁度悟浄居なかったし!ゴメンって言ってんじゃん!」
「そうですよ、大人げないですよ。」
「あさましいな。」
「しっかり食っといて言うなよ!」
「だからゴメンって〜。」
「まあさー、いいけどさー、どぉーせ俺なんて……ぐちぐち」

□ケース2:三蔵の分を無しにした場合
「三蔵……ゴメン!マジで!ごーめーんー!だって三つしかなかったんだって!」
「ほーう、それで俺の居ない隙に食ったと。」
「イヤ隙とかそんなんじゃ……まんじゅうくらいいいかと思ってさ?」
「そうですよまんじゅうくらい。」
「ホントまんじゅうくらいで大人げ無いよな〜。」
「……バカにしたか?今バカにしたな?」
「イヤちょま……俺じゃないじゃん!今の俺じゃないじゃん!」
「知るかァ!」
「ぎゃああああああ」

□ケース3:八戒の分を無しにした場合
「……このお皿は……。」
「あーごめん八戒!まんじゅう貰ったんだけど三つしか無くて」
「それで三人で召し上がられたんですね。」
「ウン、イヤまあ……。」
「いいんですよ?まんじゅうくらい。」
「だからごめんって」
「いえですから、なにも謝るような事じゃないでしょう。
 それとも心の底から僕に申し訳ないなあと思いつつ、断腸の思いで召し上がられたとでも?」
「イヤそんな……ちょ、そこの二人もなんか言えよ!」
「……。」
「……。」
「ヒドイ!一緒に食ったのにヒドイ!」
「ですから僕はなにひとつこれっぽちも気にしてませんよ?」
「嘘だ!なんかいつもと違う!絶対違う!」
「そんなことありませんって。もしそう見えるなら……
 それは自分に何かやましいところがあるからではないですか?」
「すみませんでしたぁぁぁぁぁ!」


「ウザい・痛い・怖いの三択かぁ。ある意味、究極の選択だよな〜。」
 間。
「……そうだ!『ケース4:俺が全部食う』で決まりじゃないの?言わなきゃ分かんないし!
 俺ってアッタマい……ウゲッ。」
「おめーはいちいちうるせーんだよ!全部聞こえてるっつの!」
「考え事は頭の中でしましょうね。」
「随分悩んでいるようだから俺がいい考えを教えてやろう。

『ケース5:テメェ意外の三人で食う』。

 決まりだな。」
「イタダキマース!」
「じゃ、僕もお言葉に甘えて。」
「ああああああああッ、俺のまんじゅうぅぅぅぅぅ!」
「あ、コレおいしいですね。」
「ホントだ、なんかこうこの餡が……なんと言うか……なあ?」
「……確かに、見た目に反して意外と……。」
「何処のお菓子でしょうね?」
「手作りとか?」
「俺の……俺の、まんじゅう……!」






【コメント】

2008年8月から2011年2月まで使い回していたWeb拍手お礼ネタ。
んーなんかキレがありますねー(飽くまで当社比)。
今こんなに書けないかも!サボるとあかんですね。
(2011/02/11)