+ああ勘違い2009年寒中お見舞い申し上げます+
「なー、八戒、栗きんとんもう無い?」
「無いですよー。流石にもう松の内も過ぎちゃいましたし。」
「そりゃーおめーアレだけ食やもうねぇだろうよ。どんだけ食ったよ。」
「……さァ?」
「…………鍋いっぱいくらいでしょうかね…………。」
「でも、今回は三蔵も結構食ったよな?」
「甘党だな。」
「ですね。ちなみに今、ぜんざいをリクエストされたので
小豆を買いに行ってもらってます。」
「ええ!?行ったの?自分で?」
「信じらんねえな……。そんなに食いたいのか。よっぽどだな。」
「イヤそんなことはいいんだよ、なあ栗きんとんも作ってくんねえ?」
「もうしょうがないですねえ。じゃあ悟空もおつかいしてきてくれますか?」
「オッケーオッケー!
……ついでに三蔵がどんな顔しておつかいしてるか見てこよう。」
「じゃあ要るもの言いますよー、まず、
さつまいも10キロ
箱買いで」
「ええッ!?」
「…………二人ともなんて顔してるんですか?
アレだけ食べるんですから、箱買いしといてもいいでしょう。
日持ちしますからあまったらふかしておやつにしたり出来ますし。
…………だからなんなんですか?」
「イヤ違くて。その……栗は?」
「栗はこの前のが残ってます。
面倒だから栗は瓶詰めので済ましちゃったんですよね。
栗の瓶詰めってなんであんなにたくさん入ってるんでしょうねー。」
「そんなにたくさん入ってんの栗の瓶詰め?!」
「そうそう。
でも小さいのは割高でついつい大きめのを買っちゃうんですよねー。」
「あんなに食ったのにまだあんの!?」
「…………?」
「つーかー、質問なんですが、芋は何に使うんですか?」
「そうそう!」
「…………?」
「…………なんだよその世にも不思議なものを見た表情は?」
「何?何?」
「…………まさか二人とも栗きんとんが全部栗で出来てると思ってます?」
「……………………違うの……………………?」
「何その溜息!」
「んだよ信じられないものを見ましたみたいな顔すんなよ!」
「僕は情けないですよ、
イイ歳した男が二人もいて揃ってそんな勘違いをするなんて。」
「ヒデー!ヒデーよ!八戒いっつも俺にはやさしいのに!」
「でも言われてみればめっちゃ芋の味だわ栗きんとん!ハッ……」
「気が付きましたか。」
「何?」
「栗きんとんって……
栗+きんとん?栗と芋?芋フィーチャリング栗なカンジ?」
「芋フィーチャリング栗と言うべきか栗フィーチャリング芋と言うべきか
論考の余地はありますが、そういうことですよ。」
「俺ってバカ!俺のバカ!ちょっとなんか恥ずかしくなってきた!」
「確かにさ、あんだけ食っといて芋って気付かないって
……思い込みって怖ぇぇ。」
「もーいいですかー、栗きんとんの大半は芋で出来てるんですよー、
分かったら」
―ドシャッ…………ザラザラザ〜
「うわあああああ小豆が小豆が!」
「袋の口はしばって持って帰るでしょう普通!
てゆーかバラで袋入り!?」
「店より市場で買った方が安いと聞いたから……量り売りで……。」
「てゆーかスッゲ量なんですけど!ぜんざい何回分!?」
「悟空が食っても俺も思う様食えるようにと……。」
「まず落とすなよ!ああああ小豆が!」
「なんでいきなりこんなものブチ撒け…………まさか?」
「……まさかですか。」
「……三蔵も?」
「栗きんとんって芋で出来てるのか……?」
2009年は正月に出し損ねて寒中見舞いになったメルマガのショートです。正式にアップしようと思いつつ今まで出来ていなかったという。2010年は正月にちゃんとやりたいです。(2009/11/15)
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