□第九話「新たな技!2」

 悟浄が謎の新技パフパフを覚えて数日、その効果を試す機会も無いま
まに日々は過ぎていった。しかしその日、一行はかつてないピンチを迎
えるのだった……。
「マズイですね。」
 八戒が深刻な顔で道具袋から顔を上げた。
「なんだ?」
 三蔵の口調が重いのはいつものこと、従って大して気にもせず三蔵は
応じるだけ応じる。
「薬草がなくなりました。……僕のマジックポイントもあまり残ってい
ませんし、みんな体力も万全ではありません。」
「チッ、なんとか町までもたせるしかないな。」
 三蔵は銃を掴み吐き捨てる。しかし八戒は首を振った。
「それが三蔵、銃弾もうストックは……」
 初めて三蔵の顔色が変わった。
「俺ももうHP少ない……。」
「で僕は元々そう丈夫でないですし、MPが少なくて」
「俺は銃弾が無い」
「体力も元々ありませんしね?」
「黙れ。」
「ってコトはァ」
 三人の視線がいっせいに悟浄に向かう。その期待を一身に受け悟浄は
身体を硬くした。
「え?オレ……?」
 しかし悟浄の予想に反し、三人はいっせいに深い溜息と共に項垂れた。
「もォ―ダメッ、俺らここで終わりかも!!」
「それは言い過ぎですよ……でも、そう、ですねえ……。」
「フン、所詮現実はこの程度ってことだろう。」
「いきなり悟るなよ三蔵!!」
「確かに悟りの一つもひらきたいですよねえ。」
 悟浄は声を張り上げる。
「オイ待てまだ俺がいるだろ!!」
 三人がピタリと言葉を止め、悟浄を見る。
「な?」
 しかし再び溜息。
「だって不思議な踊りだろ……?」
「そうですよね、半端に味方を援護したり半端に敵にステータス異常を
引き起こしたり何せ何もかも半端ですものね……」
「単独では戦力にはならんからな……」
「三蔵、いんちきでも構いませんからせめて最後のお祈りを……あなた、
まがりなりにもカミサマ関係の人なんでしょう?」
 悟浄はだんだんと足を踏み鳴らす。
「クソオイ聞け、まだ他にもあるだろ!?」
「何があるって言うんです?」
「口だけは一人前だなこの遊び人!!」
「何だよ他に何があるってんだよ言ってみろよ!!」
 三人にいっせいに迫られ悟浄はうッと言葉に詰まった。勢いで口にし
てみたものの他にある技と言えば……。
「え―……パフパフとか……?」
 三人はガックリと膝をつき首を垂れた。
「終わった……終わった……!せめて最後に焼肉腹いっぱい食いたかっ
たな……!!」
「天国とかあるといいですね……。」
「天にまします我らが神よ……ああ思い出せねえ、とにかく成仏します
ように……!」
「クッソテメェら……!!」
 そのとき悟浄の背後で何者可のうごめく気配がした。
 四人は瞬時に武器を取り立ち上がる。
「マジで出た……!!」
「取り合えず諦めの悪さだけは自信ありますけど!」
「はずさねえように祈っとけよ!!」
 四人の前には巨大なモンスターの陰があった。それも余力があるとき
でさえ楽勝とはいえないクラスの敵だ。悲壮な決意で立ち上がる悟空、
八戒、三蔵の前にスッと悟浄が立ち塞がった。
「え……?」
 悟浄はモンスターを見据えたまま口を開く。
「どうせ博打みたいな戦闘だ。賭けてみねえか?俺のパフパフに。」
 三人は顔を見合わせた。
 どうした悟浄!カッコイイんだかヘンなんだか、もうワケわかんねえ
ぞ!!果たしてこのピンチをパフパフで切り抜けることは出来るのか、
以下次号を待て!!