□第八話「新たな技!」

 すぐ脇から絶え間なく漂う腐臭に顔をしかめつつ、悟浄は己の技を、
或いは遊び人と言う職業を呪っていた。そう、全てはあの、新たに習得
した忌むべき特殊能力に端を発していた―。
 三日前。戦闘を終えた途端、悟浄はある閃きを覚えて立ち尽くした。
「どったの悟浄?」
 真面目に見上げる悟空の頭を三蔵がハリセンでばしっと打った。
「相手にするな、馬鹿がうつるぞ。」
「そうですよ、さっさと行きましょう。野宿する羽目になりますよ。」
「うわそれはイヤ!!温かいメシ!!早く行こうぜ、悟浄!!」
「……俺今新しい技を覚えたかもしれねぇ……。」
 関係無いがゲームだと唐突にメッセージという形で『○○は●●を覚
えた!』とかなるが、それを文字で表現する場合どうすれば良いのだろ
う。シリアスな小説ならそれなりに、自然に会得するストーリーを織り
込めばよいわけだがこの場合そう言うわけにもいかない。参ったね。
 悟浄は天を仰いでいた目をゆっくりと三人に戻した。
「ほぉ……?一応聞くだけ聞いてやる、何だ?」
 三蔵はいつでも制裁を加える準備は出来ているとばかりにハリセンで
手のひらを打っている。八戒も笑った。
「どうせまた、そうですね、今度は、月の灯りがとてもきれいねヨコハ
マブルーライト不思議な踊りとかですか?」
「言わなかったけどそれはこの前覚えた……。」
 八戒の頬がひくっと引きつった。
「ホントにあるんですか、そんなの……。」
「で、なんなのなんなの!?」
 それでも懲りてない悟空が瞳を輝かせた。その目を真正面から見据え
て悟浄は厳かにその言葉を口にした。
「パフパフ……。」
「え?パフパフ不思議な踊り?何それ?」
「違う、パフパフ……。」
 不思議そうな顔をする悟空を他所に、その背後の三蔵はばさりとハリ
センを落とし、八戒は笑顔を凍りつかせた。
「それって男性が使ってどうにかなるものなんですか……?」
「俺にもわからねえ……。」
 悟浄の新技パフパフ(※お色気系魅惑技)は果たしてその威力を発揮す
るのか、そして衝撃のハナコとの出会いは!?以下次号を待て!!