□第六話「それから。」 三蔵一行はその後も小さな村々を廻り、周辺の主にモンスター退治を 引き受けつつ旅を続けた。結果として小金もたまりレベルもそこそこに 上がり、ついでに悟浄と他メンバーのレベルの差も少し開き始めていた。 宿代わりにしていた村長の家で四人はくつろいでいる。この村での依 頼も片付けてしまったので明日には出て行くことになるだろう。 帳簿代わりにしていたノートを広げ現金を数えるのは八戒だ。 「大分お金持ちになりましたねえ、僕ら。大きな町にでも行って装備を 揃えなおすくらいは出来ますよ。」 「だったら少し町に出るか……。」 大して気乗りもしない様子で三蔵がそう応じた。新聞から顔を上げる ことはしないのがその証拠だ。 「まち!?だったら焼肉食えるよな?」 「オマエ、口開けば焼肉だよな……。」 カードの相手をしていた悟浄が悟空の台詞にげんなりと眉を寄せた。 「だって好きなんだもんよ。」 「ま、久々だからいいけどよ。……コール。」 「え!?どうしよう、降りようかな……。」 八戒は帳簿をつけ終わり今度は地図を広げている。 「町と言っても、東西同じ距離に町がありますけど。どちらにします?」 後半は三蔵に向けられたものだ。なんだかんだいって決定権は彼にあ る。暗黙の了解だ。 「どちらでもいいが……」 ふ、と悟浄はカードから目を離した。 「あのさあ、一応俺らの目的って打倒魔王!なワケだよな。」 「ええまあ。」 八戒が曖昧に頷いた。 「それって何処に行けばいいワケ?」 今度は誰も応えなかった。 「……えっと。」 仕方が無いので悟浄が再び口を開く。 「まあ相手の居所が分ったってレベル上げなきゃどうしようもないけどよ。 いつまでも田舎でブラブラしてるわけにもいかねえだろ。」 三蔵がボソリと何事か漏らした。 「あ?」 「面倒だと言ってんだよ。伝説の剣だのなんだのホントか昔話かも分から んような情報集めて進むってのがな。」 「それ言っちゃおしまいですよ……。いずれは……そうだ!」 「なに?」 悟空もカードから目を離している。 「仮にこのまま魔王をやっつけてもタダ働きでしょう。何処かの王か何か に会ってそちらから依頼してもらうってカタチをとれば褒美なり何なり貰 えるに違いありません。そうしてはどうでしょう。」 「それがいいだろうな。タダ働きはごめんだ。」 聖職者とは思えぬ発言だが、三蔵らしくもある。彼は同意した。他も当 然だ。 「では城のある西の町に行きましょう。」 ようやく今後の方針の決まった一行、魔王を倒すのはいつのことになる のやら!?相変わらず前途も不明なままつづく!!