□第二話「勇者の使命」 「でもさあ、世界を救うってのは分かるけど結局のところナニすればいい の、俺たち?」 「その牛魔王とか言うのをブッ殺せばいいんだろう?」 悟空の問いに曲がりなりにも神につかえる身である三蔵が間髪入れず答 える。 「でもそのぎゅーまおうとか何処いるかとか分かんねえじゃん。」 「街でいろいろ話聞いたり調べたりとかするんだろ、やっぱ。」 悟浄の言葉に悟空はうげえと眉を寄せた。面倒だと感じたらしい。 「街でなにすんのぉ?」 「まあ、さしあたっては引き出しを開けるとか。」 それまで黙っていた八戒が笑顔であっけらかんと言った。 「引き出し?」 「ええ、他所様の家の引き出しです。」 「そんなの、勝手に開けちゃいけないじゃん!」 「いえ、いいんです。」 「なんで?」 「なにせ僕らで世界を救うんですからね、構わないんですよ?」 妙に確信に満ちた八戒に悟空は頷くしかなかった。 「あと、ツボも割りましょう。」 「ツボ…割るのか?」 「割ります、むしろ勇者の使命ですね、最早。」 「わ、割るのかあ、でもなあ……。」 気の進まない様子の悟空に八戒は更に言う。 「そう、割ったら中にあるものが手に入りますから。……おいしいものも あるかもしれませんね。」 「うまいモン?ホントに?」 「かも、ですけどね。」 途端に悟空の目の色が変わった。 「じゃ、早く街行こうぜ、なあなあなあ!」 「ええそうしましょう、三蔵、悟浄も行きますよ?」 「あ、ああ……。」 先に進む二人の背から悟浄は隣の三蔵に目を移した。 三蔵はふと考え込む表情から我に返ってこう言った。 「ツボを割るのか……割と体力が要るだろうな。腱鞘炎も心配だ。」 悟浄はがっくりと肩を落とす他になかった。 これでは勇者パーティーどころかなれのはては盗賊集団だ、明日は留置 所か裁判所か、世界はどうなる、頑張れゴーゴー僕らの三蔵一行、次回へ つづく!!